2013年1月10日木曜日

全ては美味しいという言葉のために。

太田 匡人。

東京の某外資系ホテル、広東料理の料理人。

1984年生まれ、鹿児島県出身。

小さいころからものを作るのが好き。
父親が個人で建築業をしていたということで、小学生の頃から休みの日は父の現場によくお手伝いに行く。
家を建てるための敷地の整備から家の完成するところまで、まれに実際に電動工具を使ったり。
こういうことを高校卒業する時まで手伝う。

料理を作るのも小さな頃から好き。
母の手伝いをよくやる。
一緒にハンバーグを作ったり、カレー作ったり。

そんな中、1番影響受けたのが「料理の鉄人」というテレビ番組。
その時のフレンチの鉄人の「坂井宏行」って方が自分と同じ地元だったので、余計に好きになる。
料理作ってるところがかっこよくて、自分もこういう風になりたいと憧れる。

高校生くらいになると、家でパンやシュークリームを作って学校に持っていき、皆で食べる。
母親の誕生日に色々と本を見ながら、フルコースも作ってみる。
このときの母親の笑顔は今でも鮮明に覚えている。
この頃から本格的に「コックになる!」と決意。

でも高校2年生くらいの頃、父の建築業を継ぐかコックになるかですごく悩む。
父的には継いでほしいと思ってるはずだし、でも夢を叶えたいし。
そんな時父が言った一言が今でも忘れられない。

「自分のやりたいことをやりなさい!人生1度きりなんだから。家のことは気にしなくていいから。」

この言葉で吹っ切れ、この言葉でコックになる道を決心。

そして高校卒業後に福岡の調理師学校に入学。

入学当初はフレンチの坂井宏行さんの影響でフランス料理の道を考える。
が、いざ料理実習をやっていくうちになんだかフランス料理より中華料理のほうが楽しくなる。
感覚的なものであり、あとやっぱりアジアの料理が合うと感じる。
それで1年生の秋くらいには中華の道を行くと決意。

2年生になって冬にヨーロッパに研修旅行へ。
料理学校というのがあっていろんなお店、有名なワインの産地へ。
イタリアに行ったときはミラノで2つ星のお店、ドォーモ。パルマのハム工場。
フランスではリヨンの3つ星のお店。
パリでは凱旋門、3つ星のお店。ボルドーではワイン工場。 フランスではワイン飲みまくる。
クリスマスイブをパリで迎えられ幸せを感じる。
いろいろ勉強になった研修旅行。
また学生の当時、中華料理のレストランでバイトし現場の大変さを知る。

卒業後、日本の激戦区で働きたいと考え、就職を機に上京。
現在と同じホテルのレストランで、今に至るまで働く。
社会人になり本場である香港にも食べ歩きに行く。 香港の料理は美味い。
高級店はもちろんのこと小さな屋台の料理も。 香港で食べまくる。
市場に行っても珍しい食材がたくさんあり、中でも珍しかったものが「犬」、「カブトガニ」、「ヘビ」。 料理、環境、文化などいろいろ刺激になった旅行。
本当に面白いところである。



…そんな料理に真剣な、熱い想いを持っている彼。そんな彼は他にも夢中になっているものがあります。

「小さなころからスポーツが好きでいろいろやってきました。
水泳(小学生)・サッカー・フットサル(中学生)・バドミントン(高校生から現在まで)。
でもここ最近はまってるのがトライアスロン!
スポーツの中で1番過酷なスポーツ」と言われています。
トライアスロンとは1人で連続でスイム・バイク・ランを行うスポーツです。
トライアスロンをやる人はどれか1つは得意な種目があるのですが、僕は1つもありません。 ただ単に興味があったという理由だけでやり始めました。
実際にやるととてもヘビーなスポーツでした。
大会にもよりますけどスタンダードの距離はスイム1,5km・バイク40km・ラン10kmなんです。 やったことがなく未知数でしたが、実際やってみるときついですけどやみつきになりました。

昨年の9月には新潟の佐渡である国際大会ではスイム2km・バイク105km・ラン20kmを6時間半で完走することができました。
ゴールの瞬間、ほんとに感動して泣きそうになりました。
トライアスロンをやってる理由は、運動するのが好きっていうのもありますけど1番の理由は、

「ゴールの瞬間の達成感を味わいたいから。」

です。ほんの一瞬ですけど。 でもこの一瞬のためにきついトレーニングも頑張れる。

そんなトライアスロンを通して得たものは、もちろん強い体、スタミナもそうなんですが1番は「メンタル」だと思います。

競技中はとてもきつくて、諦めることも考えたりもします。

でも、 「ここで諦めたら今までの努力が無駄になる」とか
「応援してくれる人に申し訳ない」 という思いがあるからいつも最後まで頑張れる。

応援してくれる人の言葉は僕の中でとても大きな力になるとこのスポーツを通して感じました。

「何事も諦めないでやること、そしたら時間はかかるかもしれないけど結果は出る。」



……そんな彼の「幸せなこと」「これから目指すもの」「夢」とは。


「まず立派な料理人になって、「食欲」と「気持ち」を満たすことのできる料理人になること。

あと美味しいだけではなく「健康」を考えた料理を作ること。
「食欲」だけを満たすだけだったらコンビニの弁当だってできる。
美味しい料理ならどこででも食べられる。

僕が目指すものは「食欲」はもちろんのこと、
僕の料理を食べて幸せな気持ちになって、

「この料理をまた食べに行きたい」 と思ってもらえるような料理を作ること。

その季節、その人の年齢、健康状態に合わせた料理を作ることが理想かな。

トライアスロンでは昨年出た佐渡であるトライアスロンの大会で、去年の倍の距離のあるカテゴリーに出て完走すること。
ちなみにスイム3,8km、バイク190km、ラン42,195km。制限時間15時間半で。


あと僕は休みの日にたまに友達と餃子パーティーや鍋パーティーをすることがあります。
そこでみんながおいしそうに食べる姿を見るととてもうれしい気分になります。
僕は気づきました。僕にとっての幸せとは、

  「美味しい!!」

という言葉を言ってもらえること。

1つの料理を作るには時間がかかり、仕込にも手間がかかります。
でも食べるのは本当に一瞬です。
でもこの一言でそれまでにかかった時間、手間の大変さも吹き飛びます。


これが僕にとっての「やりがい」なんでしょうね。





…最後に彼の好きな言葉から。


「何事もやってみなければわからない。」
今僕の周りにはたくさんの仲間がいる。 一緒に仕事をする仲間、一緒にトライアスロンをやる仲間、一緒に僕の悩みを聞いてくれる仲間、一緒にパーティーや飲み会をやる仲間。

  こんな仲間ができたのも自分から1歩を踏み出したからだと思う。
自分から飛び込まないと何も変わらない。 これに気付いたのも社会人になってからかな。
もうちょっと早く気づいていればもっと楽しい人生になってたと思う。
  これからもたくさんの仲間を作り、お互いに人間的に成長しあえるような人間になりたい!」

Masahito Ota




…普段何気なく訪れる飲食店や、自分たちの身近にあり、欠けてはならない「食」。
そこには、

「全ては美味しいという言葉のために。」


という想いを込めて、作ってくれている料理人がいるっていうこと。

そこに至るまでたくさんの背景と、大きな「想い」が詰まっているということ。

改めて感じさせてもらえました。

そしてその「食」は、いつもより「輝き」と「温かみ」が溢れた「食」に、なんだか感じられます。


そうやって「食」をとおして繋がり、そしてまた「幸せ」な気持ちが繋がっていきますように。

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